
南城市の学校給食には、ちょっとした「すごい」が、たくさん詰まっています。 子どもたちの「おいしい!」のために、栄養士と調理員が日々重ねている工夫と手間。 今月は当たり前の食卓の、当たり前じゃない裏側を、ご紹介します。


南城市の学校に赴任してきた先生たちが、給食を口にした瞬間に漏らす言葉があります。それは、家庭の食卓では当たり前のはずなのに、給食ではなかなか実現が難しい——そんなことばかりでした。
なぜ南城市の給食は、先生たちをこんなにも驚かせるのでしょう。その理由をひもといていきます。
南城市学校給食センターが稼働を始めて、今年で11年目を迎えました。南部地区のなかでは新しい施設で、設備が充実しています。毎日約5,600食という規模で、手作りのデザートが出る日もあるのは、この環境があってこそ。サラダの食缶には保冷剤を詰め、温かいおかずは真空断熱の食缶で——子どもたちの教室に届くそのときまで、料理それぞれにふさわしい温度が保たれるよう設計されています。
しかし、設備があるだけでは「手作り」は実現しません。手作りデザートひとつとっても、本番の前に100食分の試作を重ねるのだそう。設備の力と、つくり手の根気——その両輪が、南城市の給食を支えています。

5,600食分を9基の大型釜で一度に仕上げる。湯気の立つこの瞬間まで、何時間もの仕込みが積み重なっています。
①下ごしらえ
届いた食材を手にとり、鮮度を確かめながら、皮をむくなど下処理をします。
②洗う
虫や汚れがないか目を凝らし、多い日で1トンの野菜を3回、手作業で洗います。
③切る
子どもたちの口に入れたときの感触を想像しながら、スライサーでカットします。
④加熱
体感温度が40度の日も。1日に2回シャツを着替える調理員さんもいるほどです。
⑤測る
確実に火が通っているか、調理品の中心温度を確認。安心安全につながります。
南城市学校給食センターでは、センター長をはじめ、33名の調理員と2名の栄養士が在籍しています。毎日の献立を考えているのが栄養士の二人。「栄養バランス」「食材費」「調理時間」——その3つの綱引きの中で、毎月の献立は組み立てられていきます。
献立検討会議で調理員と意見を交わしたあと、約20社の食材業者からの見積もりとにらめっこしているのは栄養士の津波祐美さんと溝邉美郷さん。コストと品質、そして栄養のバランスを計算します。
毎月まとめて20日分の献立を考えるのは大変。それでも、最終的にいつも頭をよぎるのは、子どもたちの「おいしい!」の声と笑顔です。

課題のひとつが「残食」です。子どもたちに人気のないメニューも、地域特有の食材や料理など、受け継ぎたい味は意図的に出し続けています。そうすることで、低学年では苦手でも、高学年になるにつれて人気メニューになることも。
また、月曜日は特に残量が増えがちなので、子どもたちが「学校に行きたくなる」ような好きなメニューを意識的に組み込みます。
逆に、部活のある日にパンや麺は消化が良すぎる——そんな細やかな配慮もしながら、できるだけ部活のない日を選んで提供日を調整しています。 「お母さんから『家ではゴーヤーを食べないのに、給食では完食してくるんです』と言われることがよくあるんですよ」と笑うのは津波さん。給食の不思議な力です。
給食は単なる食事提供ではなく、教育活動の一環として実施されています。郷土料理、地産地消、姉妹都市のご当地メニュー、絵本とコラボした「お話給食」——給食を通して、知識や興味を広げる企画を考えるのもこの二人。
子どもたちが考えたレシピを実際に提供するなど、食育授業での参加型企画も、子どもたちの自己有用感を育んでいます。

5,600食を支える給食センターから、子どもたちへ —— 調理主任の與座徹也さんからのメッセージです。

いつも給食を食べてくれているみんな、今日の給食は、おいしかったかな?ぜんぶ、食べられたかな?
私たちは月曜日から金曜日まで、毎日、みんなの給食を作っています。味や栄養のバランスはもちろん、みんなが安心して食べられるように、心をこめてつくっています。
私たちの願いは、みんなが「おいしい!」と、残さず給食を食べてくれること。毎月の献立表は、私たち調理員と栄養士からの、みんなへのお手紙。そして、空っぽになって戻ってきた食缶は、みんなからの最高のお返事です。これからも、給食を楽しんでね!
離島の久高小中学校では、学校内施設で調理。手作りデザートや島で取れた食材を使った献立も提供されます。ランチルームで児童生徒と職員、みんなで食べています。


