「朝勇さ〜ん、元気ね〜?」 高齢者宅をたずねたのは「知名支え合い委員会」(大城ミネ子会長)のメンバー。ぬれ縁に座って、さっそくゆんたく(おしゃべり)が始まります。笑いの絶えない、地域の片隅の、何気ない風景。あなたの地域には、残っているでしょうか。
知名支え合い委員会は、地域の高齢者宅を2人1組で定期的に訪ねる「見守り活動」を続けています。散歩など日常生活のなかで無理なく実施するのが特徴。
毎月1回の定例会では、高齢者の生活状況などを共有します。「〇〇さんはウォーキングしてたから元気そう」「骨折で施設に入った方がいるらしい」など情報交換も活発で、住民ネットワークの力を感じさせます。
知名といえば、旧盆ウークイの翌日に集落総出で伝統芸能を披露する「ヌーバレー」が有名。「この地域は、昔から行事で人がつながってきた。だから今も助け合いが自然にできるんだと思う」と大城会長。
その一方で、継続が難しくなった行事もあり、自治会役員のなり手不足などの問題も顕在化しています。しかし今、行事の復活に向けた動きも始まり、地域には新しい風が吹きつつあります。「新しい活動にも、住民が前向きに協力してくれる。そこが知名のいいところ」とメンバーの兼本とも子さんは話します。
「定例会や高齢者との会話はとにかく楽しい!」と語るメンバーたち。「ご近所トラブルの相談があった時は少し戸惑ったけど、行政に繋げたらすぐに対応してくれた。どこに相談すればいいかがわかれば大丈夫」と話します。活動を通じて、支援制度の知識も自然と身についてきたようです。定例会には社会福祉協議会の地域コーディネーターも同席し、公的機関とつながっている安心感も大きいと言います。
定例会も見回りも、そこにあるのは義務感よりも「楽しいからやっている」という気持ち。誰かの役に立っている実感と、自分の居場所としての充足感。知名支え合い委員会の活動には、そんなささやかな幸福感が満ちています。
近年、「社会的孤立」や「ヤングケアラー」など、地域で暮らす人びとの困りごとはますます多様で複雑になっています。また、近所付き合いにおいても、「相談したり、助け合うような付き合い」の割合は、令和元年と比べて低下しており、「あいさつ程度」「まったくない」と答える人が増えている現状が見てとれます。それにより、誰にも相談できず、困りごとを抱え込む人や、解決方法にアクセスできない人も増えています。
これらの課題を「特別な誰かの問題」としてではなく、「地域で暮らす私たち自身のこと」として捉えることが大切です。かつてのように、自然なつながりが生まれにくい今だからこそ、新たな関わり方・助け合い方を地域で模索することが求められています。 声をかけ合う、自治会や地域の集まりに顔を出す。そんな小さな行動が、地域に「安心のネットワーク」を育んでいきます。あなたのまわりにある“つながり”を、もう一度見つめてみませんか?
①ご近所との交流
つながりの第一歩。日頃から近隣の人たちとあいさつを交わすなど交流を深めましょう。
②福祉の学び
地域や福祉に関心を持ち、講演会などの学習の場に積極的に参加しましょう。
③行事への参加
地域の情報に目を通し、盆踊りや美化活動などの行事やイベントに参加してみましょう。
④地域防災マップ
地域防災マップに目を通しておくことで、いざというとき、自分も誰かも守れます。
⑤防災訓練
防災訓練などに積極的に参加しましょう。顔なじみを知るきっかけになります。
⑥地域の支援員
地域の民生委員・児童委員や地域福祉コーディネーターの方を覚えましょう。
⑦地域の見守り
地域で困りごとを抱えている人がいたら、市や社会福祉協議会などに相談しましょう。
⑧公共交通
公共交通を利用することで、車を持たない人の移動手段の維持につながります。
⑨移動販売
移動販売が来た際は継続できるように利用しましょう 。高齢者の買い物支援に貢献できます。
⑩防犯への意識
犯罪に巻き込まれないための知識や意識を高めることで地域の防犯力につながります。
「地域福祉」とは、地域の中で誰かが困ったときに、お互いに声をかけ合い、助け合うこと。そして、地域の課題をみんなで共有し、地域全体で解決していこうとする取り組みです。
本市では、すべての住民が人と人とのつながりを大切にし、互いに助けたり助けられたりしながら支え合う関係を築き、地域の誰もが心豊かに暮らせる「地域共生社会」の実現を目指しています。
そのために、令和7年3月に「第4次南城市地域福祉計画」を策定しました。また、地域福祉活動計画、成年後見制度利用促進基本計画、再犯防止推進計画とあわせて、これらを総称して「第4次いきいき南城しあわせプラン」とし、向こう5年間の将来像や基本目標、施策を定めています(上図)。
地域には、高齢者、障がいのある方、子育てや介護に悩む方など、さまざまな立場の人が暮らしており、多くの悩みや課題を抱えています。
こうした多様な生活課題に対して、自分自身や家族による自助、隣近所での互助、社会保険制度などの共助、そして行政などによる公的支援(公助)が連携して解決を目指す仕組みこそが、地域福祉計画で目指す姿です。
生きがいづくり、 健康維持、介護予防など
近所の助け合い、自治会活動、 ボランティア活動など
デイサービス、ヘルパーなど 社会保険制度によるサービス
高齢者福祉、 障がい者福祉、生活保護など