1. 令和4年度 南城市施政方針

令和4年度 南城市施政方針

  1. 令和4年度 南城市施政方針
目 次

はじめに

1.市政運営の基本姿勢

2.令和4年度の主要施策について
(1)ひとが育つ
(2)ひとが活きる
(3)くらしの質が高まる
(4)地域が元気になる
(5)まちが整う

4.令和4年度行財政改革について

5.令和4年度当初予算について

むすびに

はじめに

 令和4年3月議会定例会の開会にあたり、市政運営にあたっての私の所信の一端を申し述べ、議員各位並びに市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
 私は、合併後市長に就任してから12年間、様々な課題の解決に向け全力で取り組んでまいりましたが、4年前の選挙の結果、志半ばで退く形となりました。
 このたび多くの市民の支えがあり、あらためて市政を担うこととなり期待の大きさ、責任の重さを実感しているところでございます。
 私は市政を退いた4年間という歳月のなかで、多くの市民との意見交換を行ってまいりました。市政運営については、お聞きした声をしっかり踏まえながら自身の反省も踏まえ、すべての市民の幸せと常に感謝の気持ちを忘れず、公平・公正な立場から市民を支えていく決意であります。全力で市民の幸せのために頑張りますので宜しくお願い申し上げます。
 さて、令和2年に急速に拡大した新型コロナウイルス感染症は、変異を繰り返しながら未だ収束が見通せない状況が続いており、市民生活や地域経済に大きな影響をもたらしております。そのような状況において、感染防止対策にご協力いただいている市民の皆様、医療従事者を始め関係者の皆様のご尽力に対し、心より感謝申し上げます。引き続き、市民の命を守ることを最優先とし、国の支援策に加え市独自の施策を検討し、地域経済の活性化を図りながら、市民とともにこの難局を乗り越えてまいります。
 また、昨年10月には、海底噴火による軽石が沖縄県全域の海岸や漁港に漂着しました。本市においても、日々漂着する軽石の影響で久高島を結ぶフェリーが相次いで欠航し、通院や買い物などの生活に支障をきたしただけでなく、漁業者にも影響を及ぼしている状況であります。引き続き、県、関係機関及び市民の協力も得ながら自然海岸や河川等の早急な軽石除去に取り組んでまいります。
 本市の人口は、昨年4万5千人に到達しました。しかしながら、知念地域においては、人口減少と高齢化が著しいことから、令和4年4月より過疎地域の指定を受けることとなりました。令和4年度は、「過疎地域持続的発展市町村計画」を策定し、過疎地域の持続的な発展に向けた施策について、早急に検討してまいります。
 市内の均衡ある発展については、南部東道路の早期整備による利便性の向上など、若者が定住しやすい生活環境の改善に取り組んでまいります。
 私は、このような厳しい時代だからこそ、地域とのつながりを大切にし、子ども達や若者が希望を抱き、障がい者や高齢者が安心と生きがいを持ち、いつまでも住み続けたいと思えるまちづくりを目指していくことが大切であると考えております。
 以上のことから、「人と自然が調和した田園文化都市」づくりを理念として、「日本一元気で魅力ある南城市」の実現に向け全力で取り組んでまいります。

1.市政運営の基本姿勢

 市政運営の基本姿勢については、先ほど申し上げた基本理念のもと、「誇りと希望」、「安らぎと生きがい」、「賑わいと活力」に満ちた市民主役のまちづくりを実現するため、公約に掲げた9つの基本政策である
 
(1)コロナ対策を徹底し、市民が健康で活力あるまちづくり
(2)人と自然と先端技術が調和した活力あるまちづくり
(3)子どもが夢と希望を持ち、可能性を引き出せる教育環境のまちづくり
(4)高齢者や障がい者の方が生きがいと安らぎの持てる福祉のまちづくり
(5)先端産業集積によるデジタル田園都市のまちづくり
(6)農業・漁業・畜産業・ものづくり産業等を支援し、若者に夢と希望が広がるまちづくり
(7)歴史と伝統文化を継承し、世界に誇れる平和なまちづくり
(8)災害に強い安全安心なまちづくり
(9)広域連携による南部広域のまちづくり
 
 に加え、総合計画に掲げる5つの基本方針に基づき総合的なまちづくりを推進してまいります。

2.令和4年度の主要施策について

(1)ひとが育つ 

 子ども達は無限の可能性を秘めています。南城市の未来を担う子ども達の成長のため、まちのみんなで一丸となって子ども達の可能性を広げるための環境づくりを進めてまいります。
 市立幼稚園の認定こども園移行については、公私連携認定こども園として、令和4年4月に玉城こども園及び知念こども園が開園いたします。また、令和5年4月には(仮称)佐敷こども園及び公立大里こども園の開園を予定しており、引き続き、調整を進めてまいります。
 保育環境の充実については、各種補助事業を活用し、保育士の人材確保を図るとともに、待機児童の解消と保育の質の向上に努めてまいります。さらに保育所等で一時預かりや幼稚園教育時間終了後の預かりを実施することで、子育て家庭の支援に取り組んでまいります。
 保育所等における障がい児への支援については、支援を要する児童へ加配保育士を配置し個性を重視した養育を促すとともに、臨床心理士や作業療法士等の専門員による巡回相談を強化し、保護者や保育士の支援に努めてまいります。
 子どもと家庭のケア・困窮家庭への支援については、子どもの貧困対策として「沖縄子供の貧困緊急対策事業費補助金」の活用や日本郵便株式会社沖縄支社及び南城市社会福祉協議会と連携し「フードドライブ事業」を実施しております。引き続き、本市の子ども達の健やかな育ちのための支援に努めてまいります。
 放課後児童クラブについては、子どもにとって安心・安全な環境の提供が重要であるため、引き続き、運営費の補助を行うとともに、巡回指導や研修会を実施し、支援員等の資質向上に努めてまいります。
 放課後の子どもの居場所については、児童館をはじめ、学校の地域連携室、地域の公民館や公共施設などの積極的な活用に努めてまいります。
 また、家庭保育を行っている親子の居場所については、児童館の午前中の時間を活用し、親子で触れ合いながら一緒に遊べる場として、魅力ある子育て広場を実施してまいります。
 学習支援については、通常の授業についていけない児童・生徒への学習支援等を目的として、学習支援員を配置し、対象児童・生徒の習熟の程度に応じた指導や、一人一人の学習の定着状況に基づき、きめ細かな指導等、個々の実態に応じた学習支援に引き続き取り組んでまいります。
 また、幼・小・中学校に在籍する発達障がい等、様々な障がいのある教育上特別な支援を必要とする幼児・児童・生徒に対し、特別支援教育支援員を配置し、担任教諭と連携のうえ、適切な特別支援教育を行ってまいります。
 子ども達が夢や希望を持ち、生き生きと成長していくためにも地域や学校が相互にパートナーとして連携・協働していく必要があります。学習支援、クラブ活動支援、交通安全、環境整備など学校が要望する様々な活動については、地域、ボランティア及び学校との調整を行う地域コーディネーターを配置し、地域やボランティアによる学校支援を引き続き実施してまいります。
 「地域とともにある学校」を目指し、コミュニティ・スクールのスムーズな導入に向けて、教職員を対象とした研修会を開催いたします。令和4年度より各小学校において学校運営協議会を設置し運用を開始いたします。
 また、各中学校については、準備委員会を設置し、令和5年度からの導入準備を進めてまいります。
 外国語教育については、JET及びALTを配置することで、児童生徒の英語に関する興味・関心を高め、異文化理解教育の充実を図ってまいります。
 また、中高生を対象とした外国語や異文化を体験学習する機会をとおして、語学力と心の豊かさを養うとともに、国際性豊かな人材を育成するため海外短期留学やESLキャンプを実施してまいります。
 小中一貫教育の導入については、他の地域での取り組みや学校、保護者、地域等の意見を踏まえ、前向きに検討してまいります。
 学校施設の整備については、大里中学校屋内運動場整備工事、大里こども園改修工事、大里こども園屋外環境整備を引き続き行うとともに、令和4年度については、大里中学校屋外環境整備工事、大里南幼稚園解体工事に着手してまいります。
 馬天小学校の整備については、令和4年度に仮設校舎の設置、旧校舎の解体を行い、令和5年度より新校舎の建設に着手してまいります。
 久高幼稚園の整備については、久高小中学校の空き教室を活用するため、令和4年度に実施設計及び改修工事、旧園舎の解体工事を実施いたします。

(2)ひとが活きる 

 近年価値観の多様化と少子高齢化の進行などによって人とのつながりが希薄化し、新型コロナウイルス感染症の影響もあって、南城市の魅力のひとつでもある地域のコミュニティ力が低下しつつあります。
 そこで、本市にある70もの各区・自治会を活用して、子ども達の安全安心な居場所づくりや、高齢者が孤立せず健康で生き生きと活動や交流が行える場としての様々な活動を支援し、地域コミュニティの活性化が図られるよう取り組んでまいります。
 市民が主役の協働のまちづくりを推進するため、なんじょう市民活動支援センターを拠点として、市民及び市民活動団体等とのネットワーク構築、相談業務並びに地域リーダーの育成等に取り組んでまいります。
 男女共同参画の推進については、「第2次南城市男女共同参画行動計画」の中間見直しを行い、継続して家庭や職場での男女共同参画社会への意識高揚を図るとともに、性別による役割分担意識を払拭し、誰もが自分らしく輝けるまちづくりの実現のため取組を推進してまいります。
 シルバー人材センターについては、高齢者の生きがいづくりにとどまらず、市の発展に大きく貢献しております。更なる支援強化に向けて、改善点や課題点等を整理したうえで支援策を検討してまいります。 
 多様な人々がお互いを尊重し支えあう社会を実現するために、人権擁護に関する啓発活動、特設相談及び情報提供に引き続き取り組んでまいります。
 社会福祉協議会を中心とした福祉関係団体については、複雑化・複合化する福祉ニーズに対応し、充実したサービスを提供できるよう関係部署との連携の強化を図るなど、引き続き、活動を支援してまいります。
 生活困窮世帯への支援については、自立相談支援事業を中心に、住居確保給付金事業、一時生活支援事業など、状況に応じた支援を引き続き実施してまいります。
 生活保護については、受給者の自立に向けて医療、介護、就労及び学習などのきめ細かい支援を行ってまいります。
 地域コミュニティの活性化や若い世代の定住促進を図るため、新婚世帯の住居費や引越し等の費用の一部を支援する「結婚新生活支援事業」を引き続き実施してまいります。
 三世代同近居支援補助金については、人口減少が著しい知念地域が令和4年度に過疎地域の指定を受けることから、市内人口バランスに配慮するとともに、これまでの三世代同近居支援補助金の分析を行い、制度の拡充を含めて見直しを行ってまいります。
 子ども達は地域の宝であります。可能性に満ち溢れ、将来を担う青少年の健やかな成長を見守ることは、私たち大人の責務でもあります。
 スポーツ・文化活動での県内外等派遣費用については、その費用の一部を引き続き助成するとともに、小中学生のスポーツや伝統文化芸能を通じた人材の育成に取り組んでまいります。あわせて、史跡の保全、伝統文化・芸能を育成する助成金の増額に向けて検討してまいります。

(3)くらしの質が高まる 

 健康・医療サービスの提供や市民生活のサポートをとおして、市民の豊かで充実した暮らしの実現を様々な側面から支援してまいります。
 令和4年4月受診分から、中学生までの医療費無償化を実施してまいります。
 また、高校生、大学生の医療費負担支援につきましては、実施に向けて検討してまいります。
 誰もが安心して妊娠・出産・子育てができるよう、各種相談員を配置し、関係機関と連携を図りながら適切な支援につなげてまいります。
 また、令和4年度は子ども家庭総合支援拠点を設置し、子ども家庭支援の更なる体制強化に努めてまいります。
 「こども課」の新設については、国のこども家庭庁創設に向けた動向も踏まえながら、検討してまいります。
 ひとり親家庭の安定した生活のため、引き続き、補助事業や給付事業など、各種支援制度の活用が図れるよう周知に努め、自立に向けた支援に取り組んでまいります。
 障がいを持っている方が生まれ育った地域で安心して暮らし続けられるよう、関係機関と連携し、地域生活拠点の充実に努めてまいります。
 南城市地域包括支援センターについては、機能強化を目的に、地域型の地域包括支援センターを2か所新設し、市が直営する基幹型センターと連携しながら、本市の地域包括ケアシステムの構築を推進してまいります。
 また、高齢者の外出支援の一環として電動3輪車等の活用を検討し、高齢者の生きがいづくり、健康づくりに取り組んでまいります。
 Nバスを利用する高校生以下及び65歳以上の市民、障がい者の乗車無料化に向けた利用券の配布については、関係機関やバス事業者に理解を求め、まずは65歳以上の市民と障がい者を対象として、令和4年度中での実施に向けて取り組んでまいります。
 また、公共交通アテンダントによる丁寧なバスの乗り継ぎ案内や、地域に出向いての乗り方教室を開催するなど、利用促進についても積極的に取り組んでまいります。
 市民の健康の保持・増進および医療費の適正化については、引き続き、脳血管疾患・心臓血管病・慢性腎臓病・糖尿病等の生活習慣病重症化予防に取り組んでまいります。そのためにも、現状約41パーセントと過半数に満たない特定健診受診率の向上に向けて、市民と力を合わせ取り組んでまいります。
 また、年々増加する後期高齢者に対しても、引き続き、丁寧な保健指導を実施してまいります。
 さらに、子どもの頃から健康的な生活習慣の確立、および妊産婦から切れ目のない支援を行ってまいります。
 国民健康保険事業特別会計については、保険税及び国庫補助金等だけで運営することが厳しいため、一般会計からの法定外繰入を実施しております。国民健康保険事業の健全な運営に向けて、沖縄県が示す標準保険税率を参考に保険税の見直しを検討してまいります。
 交通安全及び防犯対策については、地域や各種団体、警察署等と連携し、交通安全思想の普及に取り組むとともに、各自治会が設置する防犯灯の工事費用補助を継続するなど、安全で安心して暮らせるまちづくりに努めてまいります。
 また、消費生活相談員による消費生活相談や消費トラブルの未然防止を図るための情報提供と啓発活動に取り組んでまいります。
 本市の文化芸術振興拠点であるシュガーホールでは、音楽専用ホールの特徴を活かし、市民に広く親しまれる文化事業を開催するとともに、貸館としての利活用を推進してまいります。
 また、本県で初開催となる「美ら島おきなわ文化祭2022」では、市文化協会や観光協会等とも連携を図り、関連事業を実施し、本市の文化を広く発信してまいります。
 国際交流については、今年の10月に「第7回世界のウチナーンチュ大会」が開催されます。移住者世代の功績をたたえ、沖縄が誇る人的財産である海外のウチナーンチュとの絆を深め、ハートのまち南城市から世界に誇れる平和なまちづくりを発信してまいります。
 地域文化の活動拠点及び資料展示を有する奥武区文化振興施設整備については、令和4年度の完成に向けて引き続き取り組んでまいります。
 昨年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、代替イベント「尚巴志ハーフマラソンオンライン大会」を開催しました。今年度はランナーや関係者の安全安心を第一に、感染症対策を取り入れ、これまで以上に市民や参加者から親しまれる大会を目指してまいります。
 令和4年度は、琉球三山を統一に導いた「尚巴志」の生誕650周年の節目を迎えることから、尚巴志の偉業を県内外に広く発信してまいります。
 斎場御嶽の整備については、「斎場御嶽整備基本計画」に基づき、保全に向けた基本設計に取り組んでまいります。
 歴史民俗資料館の整備については、今後、設置場所や展示コンセプト等を含め、調査、検討してまいります。
 デジタルアーカイブ事業については、地域に根差した歴史遺産や伝統芸能等のデジタル化による保存を進めるとともに、ホームページを活用した小中学校での総合学習や定期的な情報発信による観光誘客に努めてまいります。
 佐敷地域の北側に広がる中城湾港については、マリンタウンプロジェクト佐敷東地区として土地造成が計画されておりましたが、佐敷干潟等の環境保全、町村合併による土地利用制度の変更など、社会情勢の変化により、造成計画を見直すこととなりました。護岸老朽化、築島・砂洲の移動等による河口閉塞など、課題が残されていることから、関係機関とも連携し解決できるよう取り組んでまいります。
 南城市・糸満市・豊見城市・八重瀬町・与那原町及び西原町の6市町で建設予定のごみ処理施設の整備については、早期整備が実現できるよう取り組んでまいります。
 気候変動等により甚大化する大雨被害や大地震・津波等による大規模災害等に備え、島尻消防をはじめ、国や県、県内外の市町村、防災関係機関等と連携し、庁舎に隣接する公共駐車場を活用した実践的な防災訓練等を実施するとともに、広域防災拠点としての活用策について検討してまいります。
 佐敷中学校については、校舎が築32年経過しており、今後、大規模改修工事が必要となります。津波、高潮対策として高台移転の検討を進めてまいります。
 市内の停電対策については、南城市無電柱化推進計画に基づき、平成29年度より知念1号線の整備が進められております。
 また、国道331号久手堅・津波古地内では、電線共同溝整備道路の指定を受けており、主体である南部国道事務所と連携し整備に取り組んでまいります。

(4)地域が元気になる 

 企業誘致の促進については、企業ニーズの高い那覇空港自動車道沿線および南部東道路各インターチェンジ周辺などの土地利用の見直しと合わせて、企業への意向調査を行い、産業用地の確保の可能性について引き続き検討してまいります。
 市民デーを設けての地域経済の活性化については、公共駐車場を活用したイベントの開催など、市内事業者や商工会との情報交換を行いながら取組を検討してまいります。
 市民所得の向上については、市内への企業誘致による雇用の場の確保とあわせて、就業者のスキルアップ支援等を行い、新たな収入手段の確保につなげ、多様な働き方で環境の変化に対応できるよう支援してまいります。
 水溶性天然ガスの活用については、沖縄県とも連携を図りながら様々な産業分野での利活用を検討してまいります。
 斎場御嶽周辺については、関係事業者等とも連携し、歴史文化遺産の価値を高める観光地づくりを推進してまいります。
 また、本市を含む東海岸地域は、自然や歴史文化がとても豊富であります。引き続き、観光協会等の関係団体と連携強化を図り、訪れる側も受入れる側も幸せを感じる体験滞在型観光を推進してまいります。
 第2次観光振興計画については、令和4年度に検証を行うとともに、ウィズコロナ、アフターコロナと合わせて、広域的な観光振興についても見直しを行ってまいります。
 農業所得の向上については、一次産業の経営力の強化と安定化に向け、野菜果樹等の流通経路や販路拡大を促進してまいります。
 また、南城ブランド確立のため食品加工関連企業や商工会とも連携し、新たな商品開発、南城セレクション認定制度やふるさと納税制度の活用にも努めてまいります。
 畜産業の振興については、品質の良い子牛の安定生産と生産乳量の増加を図るため、引き続き優良繁殖牛及び優良乳用牛の母牛の導入を推進してまいります。
 水産業の振興については、漁場の生産力向上や漁港の機能確保と施設整備の充実を図り、安定的な漁獲量の向上に向け、漁業協同組合や関係機関と連携しながら、漁業者の所得向上に努めてまいります。
 農業生産基盤整備については、農業の更なる振興に向け、農業用水の安定供給、冠水被害の解消などの農用地の保全対策を行い、他産業との土地利用の調和を図りながら計画的に推進してまいります。
 また、農地の中間管理事業については、各種補助事業等を活用し担い手への集積と耕作放棄地解消に努めてまいります。
 県営かんがい排水事業である吉富地区、中山・志堅原地区、雄樋川2期地区の整備については、事業主体である沖縄県と地元との連携を図り、早期供用開始に向けて取り組んでまいります。

(5)まちが整う 

 都市計画マスタープランは、市域の都市的土地利用やまちづくりの具体性のある将来ビジョンを示し、あるべき「まち」の姿を定めるものとなっております。
 令和3年3月には、南部東道路の一部区間が供用開始され、南城つきしろインターチェンジ南側では、民間事業者による区画整理事業の開始、県道77号線糸満与那原線与那原バイパス整備計画など、本市を取り巻く状況が大きく変化しております。20年後の未来を見据え、土地利用を計画的に進めるため、南城市都市計画マスタープランの改訂に取り組んでまいります。
 令和3年11月には、つきしろインターチェンジ南土地区画整理組合による土地区画整理が事業開始されました。市としては、インフラ整備等を支援するなど、引き続き、組合と連携を図りながら都市拠点形成の実現に向けて取り組んでまいります。
 本市の将来のまちづくりの根幹である南部東道路については、4工区の南城大城インターチェンジから南城佐敷・玉城インターチェンジまでが供用開始されております。今後も段階的な供用開始が予定されており、南部東道路を軸とした道路網の整備を計画的に進め、利便性の高い交通ネットワ-クの形成に努めてまいります。
 市道の維持管理については、安全な通行を確保するため、道路や交通安全施設の早期補修や除草等に取り組んでまいります。
 本市の公共施設の再編については、将来のまちづくりに向けた重要な課題となっております。今後は所有する多くの公共施設が更新時期を迎え大きな費用負担が想定されることから、財源の確保や民間活力等、様々な手法を検討し、公共施設や機能の最適化を図り、市民サービスの維持向上に努めてまいります。
 大里北小学校跡地利用については、平成26年度に嶺井区長より要請がございました。その後、小学校移転の経緯も踏まえ、道路拡幅や宅地分譲地の案についての図面を示し、伝統文化である綱引きの場所としても使える駐車場の整備について説明しております。あらためて地域の皆様との意見交換の場を設け、ご理解を得ながら事業を展開してまいります。
 体育施設については、令和3年度から14施設に指定管理者制度を導入しております。指定管理者の持つノウハウを最大限に活用するとともに、適切な運営管理に努め、施設の利用促進や様々なスポーツ教室の実施などをとおして市民の健康増進を図ってまいります。
 上水道事業については、市民への良質な水の安定供給を図るため、水道施設の適切な維持管理を行います。令和4年度には、老朽化が著しい糸数配水池の工事に着手し、基盤強化に努めてまいります。
 下水道事業については、流域関連公共下水道区域の拡大を図り、老朽化した集落排水処理場の機械設備等の更新を行い、維持管理費の軽減に努めるとともに、下水道未接続世帯への接続推進を強化し健全な運営体制を目指してまいります。
 また、大里地区公共下水道の早期整備を図るため、令和4年度に実施設計を行い、市民の住環境、企業の立地環境を改善してまいります。
 デジタル田園都市のまちづくりについては、デジタルを活用した本市の医療、福祉、教育、観光、各種産業分野の課題解決による地域の魅力向上や都市部との格差解消に向けて取り組んでまいります。
 また、本市のDX推進に向けた方針、施策をまとめた「(仮称)南城市DX推進計画」を策定し、自治体の情報システムの標準化・共通化、マイナンバーカードの普及促進、行政手続のオンライン化の推進に取り組み、業務の効率化・高度化を推進してまいります。これらの取組が迅速に対応できるようDX推進課を新設いたします。
 以上が令和4年度の主要施策の説明となります。ここで申し述べた施策以外の事業についても様々な制度や事業を活用して、「日本一元気で魅力あるまちづくり」の実現に向け全力で取り組んでまいります。
 
 最後に、新型コロナウイルス感染症への対応については、ワクチン接種率の向上や感染防止の徹底はもちろんのこと、影響を受けた市民生活や市内事業所への迅速な支援が必要であります。
 市民生活への支援策については、PCR検査を行う市民及び親族のもとへ帰省する学生を対象とした検査費用の補助、新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金、住民税非課税世帯等臨時特別給付金の対象世帯への速やかな給付を行ってまいります。
 また、地域経済活性化を目的とした市内事業所への支援策については、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用したプレミアム商品券等の発行について検討してまいります。

3.令和4年度行財政改革について

 市の財政状況については、依然として厳しい状況が続くことが予想されます。今後も社会情勢の変化や市民ニーズの多様化による行政需要の増加が見込まれ、さらなる行財政改革が求められます。
 行政改革の指針となる「第4次南城市行政改革大綱」に基づき、情報技術の積極的な活用など様々な施策を実施し、歳入の積極的な確保と行政運営の効率化を図り、将来を見据えた堅実で持続可能な行財政運営に向け取り組んでまいります。

4.令和4年度当初予算について

 以上、申し上げました政策、施策を実行するため令和4年度当初予算は、
一般会計 25,360,817千円
特別会計  6,193,660千円
企業会計  3,969,643千円
総  計 35,524,120千円 の規模となっております。

 歳入については、歳入総額における自主財源の割合は依然として低く、地方交付税等に大きく依存した財政構造となっております。
 一方、歳出では社会保障費等の義務的経費は年々増加する傾向にあり、新型コロナウイルス感染症への対応に万全を期するため例年にない歳出も予想されることから、社会経済情勢の変化に対応し得る行財政運営が求められます。
 令和4年度の主な新規事業として、市内小中学校LED更新整備事業、保育所等改修費等支援事業、久高幼稚園改修移転事業等を予算計上しております。
 予算の編成については、合併特例債の発行可能額が限られていることや、今後予想される普通建設事業費の増加による厳しい行財政運営が見込まれることから、事務事業の取捨選択に取り組み市民が将来に明るい展望が持てるような施策の展開を図ることを基本に予算を編成いたしました。

むすびに

 冒頭でも申し上げましたが、私は、すべての市民の幸せと繁栄を願い、常に感謝の気持ちを忘れず、公平・公正な立場から市民を支えていく決意であります。
 市政運営の基本姿勢は、9つの基本政策を柱とし、南城市総合計画に掲げる5つの基本方針に基づき、総合的なまちづくりを推進してまいります。
 各施策の取り組みについては、議会や市民の皆さまからのご意見を拝聴するとともに、丁寧な説明及び積極的な情報発信に努めてまいります。
 また、当初予算に計上していない施策については、準備が整い次第、議会へ上程していきたいと考えております。
 以上、市政運営に臨む基本姿勢と、所信の一端を申し述べましたが、議員各位並びに市民の皆さまのご理解とご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げ、令和4年度の施政方針といたします。


 令和4年3月2日

                  南城市長 古謝 景春
 

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