最終更新日:2026年10月05日
市民向け健康講座「教えてドクター!もっと身近に考える『腎臓』のこと」を開催しました。講師にお迎えしたのは、南城市の慢性腎臓病(CKD)重症化予防事業にも長年携わっている、琉球大学病院血液浄化療法部の古波蔵健太郎先生です。
講師の古波蔵健太郎先生
関心の高い多数の市民が参加
講演のテーマは「人生100年時代 腎臓も100年長持ちさせるために」。古波蔵先生はまず、平均寿命が今ほど長くなかった時代と現代を比較しながら、腎臓を取り巻く状況の変化について説明しました。
かつては、腎臓にある程度の機能を残したまま天寿を全うする人が多く、年齢を重ねてから透析治療が必要になるケースは今ほど多くありませんでした。しかし、医療や栄養状態の向上などによって長生きすることが当たり前になった現在は、人生の途中で腎臓の機能が先に低下する可能性も高まっています。
「人生100年時代だからこそ、腎臓も100年長持ちさせないといけない。いわば『腎生100年時代』なんです」
古波蔵先生は、腎臓の仕組みについても身近なたとえを交えながら解説しました。腎臓には「糸球体」と呼ばれる血液をろ過する小さな組織があり、血液中の不要なものをこし出して尿をつくっています。腎臓の機能が低下するということは、この糸球体のうち、働けるものが少なくなっていくことを意味します。
近年、透析に至る原因として多いのが、糖尿病や高血圧などの生活習慣病です。かつて多かった慢性腎炎は治療の進歩によって減少する一方、高齢になってから糖尿病や高血圧を背景に腎機能が低下する人が増えていると説明しました。
「特別な病気じゃないんですよ。糖尿病や高血圧といった、普段皆さんもお薬を飲まれているような、よくある病気で透析になっている方が少なくないんです」
慢性腎臓病は、自覚症状がほとんどないまま進むことがあります。一方で、特別な検査をしなければ分からない病気ではありません。古波蔵先生は、血液検査で分かる「eGFR」と、尿検査で分かる「蛋白尿」の両方を見ることが重要だと説明しました。
「血液検査だけでは、透析のリスクを見落としてしまうかもしれない。簡単な検査ですし、安い検査ですから、受けないのはもったいない。必ずおしっこの検査も一緒に受けることが大事です」
また、毎年検査を受けてeGFRの推移を見ることで、腎機能がどの程度の速さで低下しているかを把握し、将来のリスクを予測することもできます。
治療では、糖尿病や高血圧など原因となる病気を適切に治療するとともに、腎臓そのものにかかる負担を減らすことが重要です。古波蔵先生は、食事や血圧の管理、必要に応じた薬物治療などについて解説。近年は新しい薬も登場し、「10年前と比べて、腎臓を守るための武器が増えた」と話しました。
南城市では平成28年度から、CKD重症化予防事業に取り組んでいます。特定健診のデータなどから重症化のリスクが高い人を把握し、本人の同意を得た上で、保健師や栄養士、かかりつけ医、腎臓専門医などが連携。腎機能の変化を見える化し、一人ひとりに応じた治療や生活改善の提案を行っています。
古波蔵先生は、地域を担当する保健師・管理栄養士が住民に寄り添いながら、「検査を受けましょう」「家庭でも血圧を測りましょう」ときめ細かく働きかけていることにも触れました。
「南城市では、保健師・管理栄養士と患者さんが二人三脚で、チームをあげて腎臓を悪くしないよう取り組んでいます。この仕組みを沖縄県全体に、できれば全国にも広げたいと思っています」
講演の最後に古波蔵先生は、治療法が進歩した今だからこそ、早く自分の腎臓の状態を知り、適切な治療につなげることの大切さを改めて呼びかけました。
「腎臓をいたわって健康長寿を目指す。そのために『腎生も100年長持ちさせる』ということを、皆さんにも大事にしていただければと思います」
