最終更新日:2026年11月05日
南城市役所で、市民団体「あかゆらぬ花会」(比嘉幸雄会長)による公開シンポジウム「子どもと南城市の自然体験 ~将来につながる地域づくりと活動~」が開催されました。
活発なディスカッションが行われました
あかゆらぬ花会 比嘉幸雄会長
同会は、2012年に南城市民大学をきっかけに結成された団体です。子どもから高齢者までがそれぞれの個性を生かし、道路沿いの清掃や花植え、子どもたちへの朝食提供、災害復興支援など、幅広い活動に取り組んできました。
今回のシンポジウムでは、地域に生息する貴重な生き物への理解を深めるとともに、自然体験を通じた子どもの育成や、多世代が協力する地域づくりについて考えました。
南城市の生き物講座を行った城間大輝さん(琉球大学大学院理工学研究科)
向陽高校サイエンス部によるイモリ観察会報告
琉球大学大学院でイモリの研究に取り組む城間大輝さんは、南城市に生息する希少な生き物について講演しました。
城間さんは、アマノヤマタカマイマイやクロイワトカゲモドキ、イボイモリなどを紹介。南城市にも貴重な自然が残されている一方、道路整備や土砂の流入などによって生息環境が脅かされている現状を説明しました。
「研究者・有識者と行政機関の連携であったり、工事を担当する部署と自然環境保全の担当部署での情報共有というのが重要」と話し、地元住民の関心と協力も欠かせないと訴えました。
続いて、向陽高校サイエンス部の生徒たちが、あかゆらぬ花会と連携して取り組んだオキナワシリケンイモリの観察活動を報告。約1年間の調査で56個体を識別し、季節による個体数の変化などを調べた成果を発表しました。
生徒からは「普段飼育するだけでは分からない個体ごとの行動や、個体数の季節変化を明らかにできることに研究の面白さを感じました」との感想もありました。
外来種について語った上原玲さん(琉球大学農学部)
南城市の都市計画について語った勢理客武さん
また、琉球大学の上原怜さんは、グリーンアノールやヤエヤママドボタルなどの外来種が在来の生き物に与える影響を紹介。人間の活動によって生き物の分布が変化していることを説明し、外来種を発見した際の情報提供や、むやみに移動させないことを呼びかけました。
南城市都市計画審議会会長の勢理客武さんは、市内の約1,100ヘクタールが風致地区に指定され、自然環境や景観を守るための仕組みが設けられていることを説明しました。
後半の意見交換では、参加者から「道路や住宅の整備が進む中で、希少な生き物をどう守っていくのか」「地域の一人ひとりがどういった行動をすればいいのか」といった質問が寄せられました。
城間さんは、開発と自然保護の両立には難しさがあるとしながらも、工事前の生息状況の調査や繁殖場所の保全など、具体的な対策の必要性を説明しました。
また、親慶原に住む参加者からは、地域ではイボイモリを「ソージムヤー」と呼び、清掃の様子を見に来る生き物として大切にしてきたという話も紹介されました。「歴史的な色んな親、上の世代の言伝え等々、これも若い子たちにも教えていただければ」と、地域に受け継がれてきた知恵を伝える大切さを語りました。
ほかにも、南城市母子寡婦福祉会の関係者から「花が美しいとか、本当に自然がきれいだなとか、こういったことを子どもたちが感じることっていうのがすごく大切」との意見があり、自然を身近に感じられる機会づくりの重要性が共有されました。
さらに、学校教育との連携や、地域の歴史・文化と自然を一緒に学ぶ取り組みなど、さまざまな提案が寄せられました。


比嘉会長は、今回発表した研究者や高校生たちの活動を紹介しながら、「そういう先輩の後ろ姿を高校生が見て育っていく。高校生が地域の方々、中学生、小学生に伝えていくことを期待しています」と、世代を超えた学びの広がりに期待を寄せました。
また、まちづくりについて「市民がどんなまちづくりを市がやっていこうとしているのかというものに関心を持って、そういうところを意見を出していくということは大切」と呼びかけました。
身近な自然を知ることから始まり、子どもたちの学びや世代間の交流、地域での支え合いへ。今回のシンポジウムは、南城市の豊かな自然を未来へ引き継ぐとともに、人と人がつながる地域づくりについて考える機会となりました。
