1. ハーブでまちづくり。第30回 全国ハーブサミット南城大会(2025/11/15)

ハーブでまちづくり。第30回 全国ハーブサミット南城大会(2025/11/15)

最終更新日:2025年12月03日

去る2025年11月15日(土)・16日(日)の2日間にわたり、「第30回 全国ハーブサミット南城大会」(主催:全国ハーブサミット連絡協議会、南城市)がユインチホテル南城を主会場に開催されました。

全国ハーブサミットは、ハーブの魅力を「まちづくり」の一つの柱として捉え、その推進に取り組む全国の自治体や関連企業が集う大会です。南城市での開催は第21回大会以来、2回目となりました。

大会初日の11月15日には、多数の参加者を迎えシンポジウムが行われました。

基調講演:伝統的な沖縄ハーブの機能性及びバコパと先端科学NMNを合わせた認知症予防とその相乗的可能性

  • 杉本八郎氏
  • 杉本八郎氏

名古屋葵大学 学長で同志社大学生命科学研究科客員教授の杉本八郎氏が登壇し、ハーブと認知症予防の関係について、先端科学の視点から学術的に講演しました。

特に主題となったのは、インドの伝統医学「アーユルヴェーダ」に用いられるハーブ「バコパ」と、近年長寿遺伝子を活性化させると注目される物質「NMN」を組み合わせた際の、認知症予防への相乗効果の可能性についてです。 (※ NMN:ニコチンアミド・モノヌクレオチドの略)

杉本氏は「老化はみんなにやってくるもの。いかに老化を遅らせるか。平均寿命は80歳だが健康寿命は70歳。10年間は多くの方が何らかの疾患で苦しんでいる。抗老化の研究は大きな福音になる」と、ハーブや先端科学を活用した「健康寿命の延伸」の重要性を力強く訴えました。

講演:琉球に残された先人の知恵〜沖縄県産食材はクスイムン〜

  • 宮國由紀江氏
  • 宮國由紀江氏

琉球薬膳研究家で琉球料理伝承人の宮國由紀江氏は、「琉球料理」に込められた先人の知恵について講演しました。

宮國氏は、琉球王府の医師であった渡嘉敷通寛が王命により1832年に編纂した書物「御膳本草(ぎょぜんほんぞう)」の研究成果を披露。 「御膳本草」には当時の食材約300種の効能や調理法などが書かれているそうです。

「御膳本草」に登場するカラシナ、ハンダマ、フーチバー(ヨモギ)といった沖縄の薬草や、それらを使った琉球料理の事例を提示しました。そして、現代の栄養学と照らし合わせても、その組み合わせが非常に理にかなっていることを解説しました。

宮國氏は「琉球料理のほとんどに薬膳的な組み合わせ。だれから習ったわけでもなく、先人たちが実際に体の反応によって出来上がった琉球料理は神業だと思う」と、琉球の食文化への敬意を表しました。

事例発表:郷土愛を育む食育〜ハーブを活用した学校給食〜

  • 津波祐美氏
  • 津波祐美氏

南城市学校給食センター 栄養教諭の津波祐美氏からは、南城市内の学校で積極的に行われている「ハーブを活用した食育」の事例が発表されました。

給食では、児童生徒からのリクエスト給食で上位に入るバジルスパゲティやチキンのバジル焼き、チョコミントスコーンなど、ハーブを使ったメニューが人気。これには、南城市産のバジルやローズマリー、スペアミントが使われているとのことです。

サミットの行われる直前の週には、セージやにがな(苦菜)など、沖縄のハーブも含む食材を使った献立が提供されました。また、家庭科の授業で給食の献立を考えるといった、主体的な食育活動も実施されています。

津波氏は「校内放送などで、給食で使っているハーブの告知など、日々食育と給食の活動をしている。自分たちの地域ってハーブが有名だったね、と思い出してほしい」と、郷土愛を育む食育への想いを語りました。


 

このほか、大会2日目の11月16日(日)は、参加者が市内のハーブ関連施設を巡るエクスカーションが実施されました。また、南城市公共駐車場では「南城市まつり」と同時開催で、ハーブや特産品の販売を行うマルシェ&体験ブースが賑やかに開催され、地域住民も交えた活発な交流が図られました。