1. 地域防災マネージャーが語る、命を守るためにできること(2023/09/17)

地域防災マネージャーが語る、命を守るためにできること(2023/09/17)

最終更新日:2023年09月22日

冒頭、スクリーンに映し出されたのは2011年3月11日、東日本大震災の映像でした。押し寄せる津波、轟音と悲鳴…。津波古公民館で防災講演会「災害から命を守るためのクライシスマネジメント」(主催:津波古公民館)が行われました。

  • 講師の嘉数淳氏

    講師の賀数淳氏

  • 区内外から多数の参加者

    区内外から多数の参加者

沖縄でも起こり得る地震津波災害

講師の賀数淳氏は2010年に糸満市消防本部から糸満市役所に防災担当として異動。その11ヶ月後に東日本大震災が発生し、被災地へ派遣されました。退職後は内閣府認定の地域防災マネージャーとして活動。何度も被災地に足を運び、現地の生の声を調査しながら、県内の学校や企業で「命を守る防災」をテーマに講演を重ね、震災の教訓を伝えています。

映像のあと、賀数氏は「本当にこういう状況が日本で起きたんですね。私たちは沖縄にいながら、その状況をリアルタイムで見ていました」と、参加者の記憶を呼び覚ますように語り始めました。

「実際に、地震津波災害は沖縄でも起こり得ます。日本は4つのプレートが近接する上に位置し、沖縄はその内2つのプレートが近接している。日本、沖縄は地震が起きるべくして起きる場所なんです」

賀数氏によると、地震は長期スパンで定期的に発生し、この150年の間に100人以上の死者を出した津波災害は13回。およそ12年に1回発生しているとのこと。

「そんな中、沖縄では死者が出るような大地震が長期間発生していない。だからこそ要注意。私たちは東日本大震災をどう位置付けるのかを考え、何が起きたのかを知る必要があります」

東日本大震災の事例から - 命が第一優先

賀数氏は、避難場所でない場所へ住民200名以上が避難した鵜住居(うのすまい)地区防災センターの事例や、児童74名・職員10名が犠牲になった大川小学校の事例を紹介。

「鵜住居地区の避難場所は裏山のお寺。避難訓練を防災センターで行なっており、正しい情報が周知されていなかったために、住民が勘違いをして多くの犠牲を出してしまいました。大川小学校は地震発生から津波到達まで51分の猶予があったにも関わらず、避難行動を起こしたのは1分前。ラジオ、防災無線、市の広報車が津波警報を伝えていたのに、校庭に留まり続けた」

その上で、災害発生時に命を守る考え方として次のように語りました。

「どちらに転ぶか確信を持てないときは、より悪い方の想定を採用し、行動すること。防災に『なんくるないさ』はありません。相手は自然ですから『ここまで来れば大丈夫』というものはありません。しかし、五感を研ぎ澄まし、観察し、想像し、命を守るための行動は可能です。命を守ることが第一優先。このことを家族で共有してほしいと思います」