1. 地域と留学生が共に生きる社会とは? 日本語教育シンポジウム(2022/03/21)

地域と留学生が共に生きる社会とは? 日本語教育シンポジウム(2022/03/21)

最終更新日:2022年03月23日

「沖縄から始まる持続可能な共生社会 -誰ひとり取り残さない時代を見据えて-」と題し、琉球大学日本語教育シンポジウム(主催:琉球大学国際教育センター、後援:南城市 他)がユインチホテル南城で開催されました。

外国人留学生が地域社会に溶け込むために、また、地域が留学生を受け入れていくために、どのような仕掛けや考え方が必要かを、全国の事例を含めて議論しました。

  • 琉球大学日本語教育シンポジウム

    春口淳一氏(大阪産業大学):アフターコロナにおいて留学生を獲得していくために、マクロ(国)とミクロ(教育機関)の間にあるミドル(地域)レベルでどのような取り組みができるか、との問題提起。

  • 琉球大学日本語教育シンポジウム

    佐久間みのり氏(横浜デザイン学院):入国前の取り組みや、地域の小中高校生や障がい者との交流プログラムを紹介し、「人と人との交流」の重要性を報告。

パネルディスカッションでは「地域社会と留学生を結ぶ」がテーマ。留学生の都市部への進学が集中する中、コロナ禍においても留学生を獲得していくために、地域でどのような取り組みができるかとの問題提起がされ、全国の研究者が神奈川、北海道、佐賀、大阪などの事例を報告しました。

  • 琉球大学日本語教育シンポジウム

    伊東克洋氏(東京外国語大学):ホストファミリー型ステイの先駆地域である北海道での事例を報告。ホストファミリーの世代交代など、持続性の難しさを指摘。

  • 琉球大学日本語教育シンポジウム

    吉川達氏(佐賀大学):担当者が異動しても持続できる構造の必要性を強調。イベント以外にも災害時ボランティアなど本当に人手が必要な場所に出向くことなどを提案。

琉球大学の山本淑乃氏は、南城市で展開した「海外交流推進事業」において、香港理工大学の留学生が南城市の観光プログラムを考案した事例を紹介しました。一方で、取り組みを持続していくための課題として、「補助金ありき」の構造や「日本人の外国人に対する意識」を指摘。紛争の起こった地域において、日本関係外国人に対して日本政府が十分に手を差し伸べなかったのを例に、「なぜそのようなことが起きるのか。それはかかわりがないから。草の根の交流などかかわりあうことが重要」と語りました。

  • 琉球大学日本語教育シンポジウム

    中井好男氏(大阪大学):コロナ禍のため来日できずにオンラインで授業を行なった事例を報告。留学生の「どうしても来たい」という強い思いにどう応えるかとの課題を指摘。

  • 琉球大学日本語教育シンポジウム

    山元淑乃氏(琉球大学):香港理工大学から南城市への留学の事例等を報告。補助金がなくなったら持続できないという問題を提起しつつ、一番の問題は「日本人の外国人に対する意識」と指摘。

研究者からの事例紹介や課題提起を受け、会場では参加者同士のディスカッションも実施。この他、パネルディスカッションの前には、第一部として松尾慎氏(東京女子大学)による「”誰ひとり取り残さない”ために、わたしたちができること -社会・ひと・ことばを結ぶ実践より-」と題した基調講演が行われました。

  • 琉球大学日本語教育シンポジウム

    参加者同士のディスカッション

  • 琉球大学日本語教育シンポジウム

    参加者同士のディスカッション