1. ウンチェーバーで水質浄化 実証試験を終え前川区で管理(2019/03/27)

ウンチェーバーで水質浄化 実証試験を終え前川区で管理(2019/03/27)

最終更新日:2019年03月29日

2015年に前川区で始まった、ウンチェーバー(空芯菜・エンサイ)の水耕栽培で農業用ため池の水質を改善する県内初の取り組みの実証試験が終了し、試験の報告と水耕栽培に使用したフロートなどの引き渡しが行われました。

前川3号貯水池のフロート(左より當山自治会長、上原室長)

 

沖縄県と南城市、地域貢献として協力している株式会社沖縄環境分析センター(宜野湾市)の3者による取り組みは、有毒でカビ臭を放ち、散水用の配水管の目詰まりの原因となる藻のアオコの発生を抑えることを目的に実施されてきました。

フロートで水耕栽培されたウンチェーバー(2015年11月撮影)

 

雨と共に地表の肥料がため池に流れ込むことで、富栄養化すると植物プランクトンが異常増殖しアオコが発生します。そこで、既に岐阜県などで成果をあげている、根が水中に伸びるウンチェーバーをため池に浮かべて育て、リンやチッソを吸収させアオコの発生を抑える方法がとられました。

水質は年々改善し、2018年にはアオコは全く発生しなくなりました。當山全章自治会長は「当初は嫌な臭いや蚊が発生して苦情が多かった。ウンチェーバーを栽培しはじめてからは苦情がなくなった」と試験の成果を喜びました。

沖縄環境分析センターの上原敦室長からは、ため池の集水域からの総リンの汚濁負荷量を割り出し、現在あるフロート5列分で栽培できる1,440株のウンチェーバーがあれば同池でのアオコの発生を抑えられると報告されました。

試験期間中には子ども達を招き、ウンチェーバーの植え付けや収穫体験を行うなど、環境学習としての期待も大きく、敷地内の沈砂池をビオトープとして活用する案もでています。

當山自治会長は「敷地内や農業用ハウスで苗を育ててから植え付けすることでより強いウンチェーバーができるはず。水棲生物の観察もできるので、地域を巻き込んで水質改善をすすめていきたい」と語り「雄樋川流域にはほかにもため池があるので、この取り組みが広がってほしい」と期待を込めました。