2017年3月12日
新里公民館で「新里の歴史・文化講演会」が行われ、ウチナー芝居の大御所、八木政男さんと吉田妙子さんが軽妙なトークで会場を沸かせました。
地域資源の歴史・文化をもっと知り、子どもや孫に継承しようという趣旨で開催。講演会に先だって、区民は「新里マーイ」として地域の歴史遺産を散策。イビの森周辺の拝所を巡りました。
八木さんは80歳を超えてもよどみのないしっかりとしたおしゃべり。トークはすべてウチナーグチで行われました。戦後のウチナー芝居の歴史をお話されました。
「馬天劇場という劇場があって、佐敷にもよく公演に来ましたよ」と南城市もなじみ深い様子。「戦後、琉球政府は人々の心を元気づけるために松・竹・梅の3つの劇団をつくりました。私は竹劇団に入って主に名護・やんばる担当。ここ、南部一帯は伊良波尹吉さん率いる梅劇団でしたね」(八木さん)
吉田さんはNHKの歴史ドラマ「テンペスト」で、新里区になじみの深い「場天ノロ」を演じた役者さん。「私たちは歴史や言葉はすべて芝居で覚えました。物のない時代で、いろいろ工夫しましたよ。衣装は米軍の布団カバーで。かんざしはビンのふたに五寸釘を通して。ほお紅は赤瓦の粉(笑)。苦しかったけど楽しかった〜」(吉田さん)
お二人のお話から歴史を語ること、うかがうことは楽しいことだと実感しました。特に八木さんのおっしゃっていたことが印象的でした。
「復帰前に東京の国立劇場でウチナー芝居を公演したんでんですがね。そのときに東京の方がおっしゃっていた。『あなた方はこの文化を大切に受け継がなければなりませんよ。日本で、ひとつの歌劇を最初から最後まで地元の言葉だけで通せるのは3つしかありません。関西弁、京都弁、そしてウチナーグチです』。これを聞いてね、私は感動しましたよ。地域の文化は大切にしなければなりませんね」